大事なパキポディウムの実生苗が枯れてしまう…その原因と対処方法について私なりにまとめてみました。
※皆さん・先生方のご意見お待ちしております。勉強させてください
パキポディウムの種子を手に入れ、発芽させ、冬越しし順調に育ってきたはずの実生苗が突然枯れてしまうことがあります。当園でどんな時に枯れるのかご紹介したいと思います。
パキポディウム・グラキリスが枯れ始める
パキポディウムの実生苗を育てていると大体4月5月あたりからまとめ植えをしている鉢から枯れが目立ち始めます。
写真のようにまずは1,2本がぐにゃぐにゃと枯れていき、その後そのポット全体に枯れが広がっていきます。最終的には、全てが枯れるという悲しい結果になります。
そうならないためにも、おかしいなっと感じた時に対処していきましょう。
枯れている株の状態
枯れているパキポディウムの株を抜き上げてみました。
幹がヨボヨボと水切れのようになっていますが、水をやっても吸いません。そのため幹が常に凹んでおり、膨らまないのです。
もし、水をあげたのに、全然幹が膨らんでこない。元に戻らないとなったら抜き上げて状態を確認してみましょう。
このパキポディウムはデンシフローラムだったと思います。葉は元気いっぱいですが、根元が急に萎れており、水を吸い上げてくれません。
こちらは枯れたグラキリスの実生苗です。
幹がブヨブヨやカラカラでまず助かりません。先程のデンシは生き残ることもあります。
根の状況をアップ。
途中から色が変わっているのが分かるかと思います。腐っていたり、細菌に侵されています。
1ポットにまとめ植えをするとこのような枯れ、腐りにあいやすいです。
どんな時にパキポディウムの実生苗が枯れ始める?
不確かではありますが、枯れが起きるのは下記のような管理をしていると出てきます。
- 1ポットにまとめ植えをする
- ほとんど土が湿っている状態で育てている。底面給水や腰水管理
- ハウス内の温度や湿度が高い春先に特に見られる
上であげたような管理をしていると枯れてしまうパキポディウムが出てきます。
私は、高温・多湿によるカビや細菌による苗立枯病だと思っています。そのため、枯れ始めた1本を放置しておくと、先程の写真のようにポット全体に広がり、他の株も枯れていきます。
もちろんオーソサイドやダコニールといった防除もしていますが、北陸の冬は日照がほとんどなく、寒いため常にヒーターをつけ、閉め切っています。そのためどうしても空気の循環がなく多湿となります。
そのような状態の中、少し暖かくなってきて、水やりが増えてくる春の時期に、カビが蔓延し立ち枯れ病が出てくるといったところです。
上の写真のような枯れ始めた株の対処方法
本記事であげているような枯れ方をしている場合は、次の対処方法が有効と思います。
まとめ植えをしない
まとめ植えさえしなければ、だいたい1つのポット内で収まります。苗立枯病は土壌伝染性の病気です。なのでまとめ植えしているとみんな枯れていきます。
まとめ植えしなければ、防ぎやすいですが、1つ大きな問題があり、大変スペースをとります。。。
1本1鉢は広いスペースが必要となるため、当園ではどうしてもまとめ植えせざるおえません。
水の吸わない実生苗を見つけたら抜いてみる
もし水をやっても幹が膨らまない株や調子がおかしいと感じた株があれば一度抜き上げてみることをご提案します。
抜き上げてみたが、根の状態に異常が見られない。
そんな状態のときもありますが、新しい土、ポットに植えてあげると元気を取り戻すことがあります。私は手があいていれば異常を感じた株を抜き上げるようにしています。
苗立枯病の疑いがあるときの対処方法
同じポット内に植わっている苗を全て抜き上げます。
そして、根が腐っている部分は取り除きましょう。先程の変色している部分。正常な根だけを残します。
その後、殺菌剤のベンレートに5~10分ほど漬けています。ベンレートはパキポディウムの実生を行う時に使いたい殺菌剤でも紹介したように予防効果と治療効果の2つがあります。(ダコニールやオーソサイドでは予防効果しか書かれていません。)
漬け終えたあとは、新しく用意した1苗1ポットに植えていきます。
植え付け後は、通常であればすぐに水をたっぷりあげますが、2日ほど水をやらず、そのまま明るい日陰に置いておきます。
その後は、水をたっぷりやり通常管理に戻します。手間をかけられる人は、徐々に通常管理に移行していくほうが植物には優しいと思います。
抜き上げたくない!という人への提案
調子がおかしそう、でも抜き上げたくはない。という人はベンレートを張った容器に鉢と苗毎漬けてみてはいかがでしょうか。
やったことはありませんが、効果はあると思います。農薬の希釈倍率は説明書を良く読み、ご自身の判断でお願いします。
まとめ
パキポディウムでもリトープスでもなんでもそうですが、だいたい実生苗が枯れるのはこの苗立枯病な気がします。
1番ラクな対策は、1鉢に1本の管理ですね。理想的です。
あとはパキポディウム実生苗の状態がおかしいと感じれば、抜いてみて、自分なりの知見を貯めると良いと思います。
上記内容が参考になり、多肉植物・塊根植物の実生を楽しんで頂けるとてもうれしく思います。
プラントブラザーズ:編集・投稿
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