塊根植物でもひときわ人気の高いキョウチクトウ科のパキポディウム属。
そのパキポディウムの中でもド定番、1番人気があるのがグラキリス(Pachypodium gracilius)になります。和名は、象牙宮(ぞうげきゅう)と呼び名が付けられています。
自生地は、アフリカ大陸の南東沖にあるマダガスカルです。グラキリス以外にも多くの魅力的な植物が自生しています。
マダガスカルで育っている野生株を現地株と呼び、種から育てたものを実生苗と呼びます。
上の写真は、当園(プラントブラザーズ)で種から育てた国内実生苗です。1つ1つ姿かたちが大きく違うので、種から育てる楽しさもあります。
こちらは、現地株のグラキリスです。実生苗とは違った雰囲気があり、同じ品種でも全く別の植物のように見えます。
1つ1つ本当に個性があり、あれもこれもと手元に置いておきたくなります。
パキポディウムの販売ページはこちら (種や実生苗、現地株)パキポディウム グラキリスの育て方
パキポディウム・グラキリスの育て方をご紹介します。
グラキリスの成長時期は、春から秋にかけてです。特に秋に入りますと一気に塊根が太くなります。この時期はボーナスタイムですので、しっかり日光にあて、水をあげ太らせていきましょう!
そして多くの人を悩ませるのが”冬の管理”。
グラキリスは、マダガスカルの植物ですので、基本寒さには弱いです。日本の冬は寒いため野外での越冬は難しいものがあります。どのように冬越しすれば安全なのかについては下記のページにまとめました。
グラキリスの冬の栽培管理。冬越しについて水やり<春~夏~秋>
グラキリスの成長期は、水やりを鉢内の用土が完全に乾く度にたっぷりと鉢底から水が出てくるまでやります。ジョウロでさっと水をあげるのはNGです。しっかり鉢底の穴から水が出てくるまで与えます。
グラキリスの水やりは、基本的に「鉢内が完全に乾く→たっぷりと水やり」この繰り返しです。ただし、梅雨の時期や長雨が続くときは、翌日以降の天気や鉢内の用土の乾き具合を見て水をあげるか決めると良いでしょう。
梅雨
例えば、梅雨の時期に鉢内が乾いているが、翌日以降雨予報が続いている。
この場合は、まずグラキリスの幹の状態を確認してください。(実生苗の場合です。現地株は幹を見てもなかなか水切れを見分けるのは難しいと思います)
幹が凹んでいた場合は、さっと少なめの水をあげましょう。イメージとしては、根の先端が濡れるくらいの量です。
そうすると幹が回復し、長雨が続いている間の水やりを控えることができます。
用土が乾燥していても、幹が特に凹んでいなければグラキリスに水をあげる必要はありません。塊根に蓄えた水分でまかなえます。
夏
夏になりますと、暑くなり鉢の乾きが早くなります。それに合わせて水やりの回数もグッと増えてきますので、用土の乾き具合や幹の様子、葉の状態を観察し水が欲しそうかチェックしてください。
水がほしい。と聞こえればあげればいいです。成長期のグラキリスの根がしっかり動いているときは、意外と根腐れしないものです。
グラキリスの枝が間延びしてきた場合は、水やりの頻度が多いということです。水やりで幹の詰め具合は管理できます。早く大きく成長させたい場合は、水やりと肥料をたくさん与えればいいのです。しかしこのような育て方をすると、病気に弱く、間延びしたグラキリスになる可能性が高いです。
観察しつつ、適度に付き合ってみてください。
秋
日差しも和らぎ、気温も落ちてきていますので、夏よりも土の乾きは遅くなります。変わらず、鉢内が乾いたら水をやる。を繰り返してください。
乾く速度が遅くなっていますので、自動的に水やりの頻度は落ち、間隔も伸びていきます。最低気温が15度を下回るようになってくると冬の準備が必要なので、水やりを控えていきましょう。このときにいつまでも夏の感覚で水やりをしていると腐ります。
置き場や日光について
グラキリスは、日光が大好きです。
強めに当てても元気なものです。当園では、梅雨明けあたりより遮光30%をかけて管理していきます。グラキリスだけでなく、他の多肉植物がありますので、日焼け防止のためにそうしています。
また強すぎる光は、不要と思いますので、適度に遮光をしています。ただ、全てのグラキリスを遮光下には入れておらず、一部は実験的に無遮光で外に置いています。雨ざらしにすると、グッと引き締まった株が出来て格好いいですよ。
パキポディウム・グラキリスの置き場のまとめとして、日光が長時間あたる場所がベストです。また風通しが良いと更にいいです。
梅雨の過ごし方
梅雨や長雨の間は、基本的には水を切ります(ぷち断水)。
日光が得られない時に水を多く与えると徒長の原因になりますし、特に根腐れが起きる可能性も高くなります。
グラキリスは、塊根部分に水分を多く蓄えていますので、多少の断水は問題ありません。また空気中の湿度も高いため、幹が凹むほど水分がなくなるということもそうそう起きないかと思います。
もし、タイミングの問題で、長雨中に大きく凹んでしまった場合は、朝、軽めに水やりをしましょう。あとは、風通しの良いところにグラキリスを置いておけば問題ありません。
夏-酷暑日
グラキリスの夏の育て方は、日光に長時間よく当て、水切れを起こさないように管理することが大事になってきます。
日光が強くて心配という場合は、遮光20-30%の寒冷紗を入れると日中も安心できます。
強い株にしたい、太らせたいという方は、直射日光のもと雨ざらし管理を行う人が多いです。当園でも一部のグラキリスは雨ざらしで育てています。
ただ、雨ざらしといっても、一切人工的に水をやらない!という意味ではありません。水をあげずに天任せの管理では枯れる株が多数でてきます。晴れが連日続く場合は、水をあげましょう。
水やりのタイミングは朝か夕方。朝なら4時5時が良いのではないでしょうか。私は夕方のお日様が落ちかけに与えています。春や秋のように朝7時-9時に与えるのでは、鉢内が蒸れてしまいますので根腐れが心配です。
夏の水やりは夕方、日が落ちてきて、涼しくなってからが安全と考えています。試行錯誤しながらグラキリスを育ててみてください。また季節に応じたパキポディウム・グラキリスの育て方を更新していこうと思います。
魅力があるグラキリスの株とは?
好みは当然ありますが、人気が高いグラキリスは丸くぼってりとしたフォルムのものが高値で取引されます。私個人としてもほっそりしたグラキリスよりも太っており球体に近いものが好みです。
また、多頭と言われるものは通常よりも価格は高くなります。
上のグラキリスは、3頭です。まるで3つのグラキリス植わっているように見えますが、地面際で3つ共しっかりくっついています。頭が1つ、2つ、3つあることから多頭グラキリスとして流通しています。
もっと値段が高いものは、綴化(テッカ)のグラキリスです。
プラントブラザーズには無いため、写真掲載できないのですが、インスタより探してきました。
なかなか見られない綴化グラキリス。いつか欲しいですが、そのうち実生株から出てくると思っています。
魅力あるグラキリスの入手の仕方、販売店について
魅力的かつご自身の趣向にあったグラキリスを探すのは、とても楽しいものです。最近では、コーデックス専門店も増えてきました。
ただ、専門店やグラキリスを取り扱っている有名店は、都会のほうになります。地方の人だとなかなか気軽に行ける場所にありません。
- グランカクタス(千葉県)
- 大正堂(栃木県)
- 山城愛仙園(大阪府)
この店舗の近くの人は、ぜひ一度訪れてみてください。色々パキポディウムやコーデックスをゆっくり見ることが出来ますので、どんな植物なのか、どういう魅力があるのかがわかってくるかと思います。
手軽にいろんなグラキリスを見比べたい!という方には、通販ショップがベストになります。
気になったときにネット検索やヤフーショッピングや楽天市場などで検索してみましょう。掘り出しものに出会えることも多々あります。
パキポディウム グラキリスの花
この現地株が咲いたのは6月15日あたり。
温かいところではもっと早くに咲きます。
パキポディウム グラキリスの種子
パキポディウム グラキリスの種子の形です。
在庫に限りがありますが、今年入荷できたグラキリスの種子はショップの通販ページより購入できます。(2021年産の種子は販売を終了しました。)
2019年、2020年産グラキリス種子と9割近くの非常に良い発芽率でしたが、2021年産は正直良くなかったですね。
期待できる発芽率はならすと50%くらいでしょうか。10粒づつでテストしてみたんですが、良いものは70%くらい。悪いものは30%くらいとまちまちです。
また、発芽まで時間がかかりました。例年であれば2,3日ほどでパパっぱと出てくるのですが、2021年のグラキリス種子は、パッとした芽の出方ではありませんでした。
7月半ばあたりから自家産グラキリス種子が採れてきますので、来年用のグラキリス実生苗は確保できそうです。
グラキリスの実生方法を知りたい方はこちらの記事を参考に種から育ててみてください
自家採種グラキリスの種子
7月頭から終わりにかけてグラキリスの種子を収穫できました。
すぐに蒔きました。ゆくゆくは輸入種子に頼らない形にしていきます。親株も分かっていますしどんな実生苗になるのかとても楽しみです。
パキポディウム グラキリスの実生株
幹幅1cm前後の実生株も販売しています。
このグラキリスの実生株はいい感じに育ってきています。将来が楽しみです。
良い太り具合です。多頭が多く見られますが、私としては単頭のグラキリスが好みです。単頭は育てるのに時間がかかる株が多いです。
最近、ヤフー店にグラキリスの実生苗をたくさん追加しました。好みの形を探してみてください。
枝の分岐が多い(成長点が多い)グラキリスの実生株です。同じような育て方をしても、1本でスッとした株立しているものや分岐の多いものなど様々です。
種から育てることで自分好みの株を選別するのも面白いかと思います。
パキポディウム グラキリスの輸入株・現地株
グラキリスの現地株はあまり持っておりません。
この株は2月撮影のものです。温かい室内で管理していましたので、葉が少しでています。
一般的には冬季は葉を落とし、春 暖かくなってくると葉を展開し始めます。お住まいの地域や栽培環境によって成長を開始するタイミングは大きく異なりますので、3月、4月になったのにまだ葉が展開しない!という場合は置かれている場所の気温が足らない可能性が高いです。
プラントブラザーズで販売中の現地株
プラントブラザーズでは、現地株パキポディウムをヤフーショッピング店にて販売しています。発根済みです。
グラキリスも多数ご用意しています。
販売中の株の写真をいくつかご紹介します。私の好きな樹形より。
現地株はホント様々な形をしており、鉢に植える角度もどうしようか悩みます。それがまた楽しいものです。
わざと主根を斜めに置いて、株全体を斜めにする。というの置き方も。ご自身の好きなように置いてみてください。
現地株を2株以上持っていると、毎年花を咲かせる時期が楽しみになってきます。
自分好みの樹形同士のグラキリスから種子を作ることができますよ。
いくつも実生を行って感じていますが、遺伝は偉大です。
親が太い塊根持ちのグラキリスからの種子は、実生苗もしっかり太ってきます。育ちが全然違います。
ぜひ、現地株をコレクションする楽しみも良いのですが、その親株から優秀な子株を作る。というのも楽しんでみてください。
当園でもより良い形のグラキリス実生苗が作れるよう種作りに力を入れています。
やはり輸入種子では、親株がわからないので、、、ただ、輸入種子でもコレは凄いな。という株がたまに作れます。宝探しみたいで楽しいですね。
プラントブラザーズ:編集・投稿
プラントブラザーズは、福井県で塊根植物を育てています。
育てた実生苗や現地株を各ショップにて販売中。「ヤフー店」「公式ショップ」。
また世界各国から希少な種子を仕入れていますが、少量のみのためすぐに売り切れてしまうことが多いです。
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